七杯のお味噌汁

皆さん、こんにちは。

愛夜です。

 

一年で最も町が煌めく日が近付くにつれ、寒さも増していく今日この頃。

風邪等はひかれていませんか?

特に、先週の金曜日は余りの寒さに雪が降るのではないかと言われていたとか。

 

私も、金曜日は普通にお仕事だったのでやむを得ず、超防寒対策をして外に出たのですが・・・さ、寒いっ!

思わず回れ右をして家に入りたくなってしまいました。

(そんな寒さの中でも、先に外に出て、人間界での初めての雪をそわそわと待っているリントくん・・・うーん、流石氷の精霊です)

 

そんな頭から爪先まで凍り付いてしまいそうな寒い日に、

思わず、ほっと凍った氷まで溶けてしまう様な出来事がありましたので、紹介させてくださいね。

 

寒さもより強さを増した金曜日の夜の帰り道。

その余りの空気の冷たさに、私は最寄りより、二つ手前の駅で下車をし、何かあたたかい物でも飲んで暖をとってから、家に向かうことにしたのです。

其処は他と比べると比較的大きな駅で、駅ビルも併設されており、カフェ等も充実している駅でしたから。

 

そうして、寒さに身を縮こまらせながら駅ビルに入り、カフェもあるデパ地下をさまようこと数分。

不意に、私達の鼻に香ばしく美味しそうな良い香りが届いたのです。

(あ、これ絶対美味しいやつ)

匂いにつられて歩いていくと、そこでは東北の物産展が開催されていました。

その中で匂いの元を探す私達。

 

すると

「あ。あれ、前に愛夜が欲しがってたものですよね」

何かに気付き、声をあげるユリス。

 

その声に、彼の示す方を見てみると、そこには、前に私が別の場所で東北の物産展が開催されていた時、間に合わずに買えなかったおさかなのハンバーグが売っていたのです。

(匂いの元はこれだったのかぁ)

匂いにつられつつ、今夜こそはこれを買って帰ろう、そう心に決めながら歩み寄る私。

 

すると、そんな私に気付いた試食を作っていた女性はこう言いました。

「いらっしゃい。寒かったでしょう、ほら、これ飲んで」

あたたかな言葉と共に差し出される、あついお味噌汁。

惹き付けられる様に受け取ると、先程までの寒さからでしょうか。

冷ましながらとはいえ、かなり早く飲み終わる私。

 

すると、次の瞬間、飲み終わり空になった私の容器にまたあたたかなお味噌汁が注がれたのです。

(あれ?)

驚いて試食の女性を見上げると、彼女は真冬の太陽の様な笑顔を浮かべると一言。

 

「いいのよ。気にしないで。

この物産展は今日でおしまいだし、貴女が最後のお客さんだから。

折角来てくれたんだから沢山飲んで食べて、あたたまって帰ってね」

彼女のその言葉に、驚く私。

 

試食は基本的には一人が一回、多くて二、三回・・・

とはいえ、そもそも、そう何度も試食をする様勧める従業員さん自体見たことも聞いたこともなかったからです。

(もしかして、最終日だから沢山買って欲しいとか、かな?)

耳を疑う様な女性の言葉に、思わず疑ってかかる私。

 

しかし、そんな私の予想とは裏腹に、彼女は本当に私が飲み終わる度に私の容器にお味噌汁を注ぎ続けてくれたのです。

しかも、ときには試食に出している商品以外の・・・私の体があたたまる様にと大根等の野菜を沢山、山盛りにして。

そうして、試食とは言うものの、よくあたたまった具材のたっぷり入ったお味噌汁を頂くこと、なんと七杯!

(よくよく考えると貰いすぎなんですが、わんこ蕎麦の様に飲む度に注がれ断れず)

熱いお味噌汁と彼女の優しさのお陰で私の体も心もすっかりと寒さを忘れ、元のあたたかさを取り戻したのでした。

 

この話を聞くと・・・もしかしたら、『その人は試食の係だし、最後だから全部の試食をはきたかったのでは?』

そう思う方もいるかもしれません。

確かに、そういう考え方もあると思います。

 

でも、それでも。

彼女の行為が私やユリスやリントの心も

体もあたためてくれたのは消せない事実であり。

 

こんな世知辛い世の中でも、全くもって見ず知らずの女性が、身も心も凍えかけた他人を、その時彼女に出来うる限りの方法であたため、もてなしてくれた。

そう考えてみた方が、なんとなく素敵だと思いませんか?

 

好意も悪意もどんな気持ちも、その人の見方次第で如何様にも変わって見えるものです。

なまぬるい綺麗事なのかもしれませんが、そうやって物事を見てみると、少しだけ日常が色付いて見える・・・そんな気がしませんか?

 

ふと、そんなことを考えた真冬の夜なのでした。

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幻獣士のさよです。 幻獣と人が共に行きるための、お手伝いをさせていただいております。 皆さまのあたたかなお言葉、いつも感謝です。 幻獣使いの皆様と、これからも末永くお付き合いができますように…。