桜色の竜

桜色の鱗、オパールのような花、尾に咲く菜の花。とってもかわいらしい竜を探す旅です。すでに人間界に来ていた地の竜エルアラスのおかげで、たった2度の探索で見つかりました。

経過報告

エルアラスの探索で訪れた花畑にソニアがいるとのことで、早速また訪れることにしました。あの日と同じように丘一面に花が咲いており、よい香りに満たされています。

以前はここで花の竜の親子に出会い、エルアラスの場所を教えてもらいました。あの親子もいるか気になりつつソニアを探していると、近くでふわり、と花が舞い上がりました。

振り返ると、花の子竜が勢いよく花畑から飛び上がったところでした。まだ飛べないのでほんの少ししか浮かないのですが、子竜は何度も羽ばたいては飛び上がります。

私は子竜に会えた嬉しさを感じながらそちらへ駆け寄りました。子竜は私に気づくと、キュイー!と嬉しそうな声を出し、花をかき分けて向こうからも走り寄ってくれました。また会えたね、と子竜がじゃれつきます。子竜からも花の甘い香りがしました。

子竜にせがまれて少し遊び相手をしてあげていると、母竜がゆっくり歩いてきました。以前エルアラスの場所を教えてくれた、菫色の花が咲いた竜です。名前はリニラと言います。

「息子の相手をしてくださってありがとうございます。また会えて嬉しいです。あの、エルアラスはどうしていますか?」

エルアラスが人間と共に元気で過ごしていると伝えると、菫色の花の竜はやさしく微笑みました。

「そうですか…それを聞いて安心しました。彼がまさか人間界に行くなんて…。長年の夢が叶ったんですね。私までなんだか満ち足りた気持ちになります。」

しんみりした顔をしていたリニラでしたが、はっと顔をあげます。

「あら、いけない。お時間を取らせてはいけませんね。今回も誰かを探していらっしゃるのですか?」

私がソニアの名前を出すと、リニラは驚いた顔になりました。

「え?ソニアも人間に呼ばれているのですか?…エルアラスを受け入れてくれた方!?まぁ…何と言ったらよいのか…。」

思わず子竜を抱いて呟くリニラでしたが、

「ソニアなら、今朝方どこかへ出掛けました。どこにでも行くので、申し訳ないのですが場所はさっぱりです。夕方には戻ってくると言っていたので、今晩お時間があればまたここを訪れてくださいますか?」

と教えてくれました。私は了承し、その場を後にしました。

夜になって、また幻獣界の花の丘を訪れました。前方から何かが飛んできます。月明かりに照らされた影は、竜のようです。影が近づくにつれ、白い翼と桜色の鱗を持つ竜だとわかりました。

「幻獣士さんですか~?」

と呼びかけながら、竜は私の前に降り立ちました。白いたてがみにはオパールの花が咲いています。ゆらゆらしている尾には、菜の花色の花も咲いていました。

「はじめまして、ソニアです。リニラに言われて、あなたを待ってました。あの、突然申し訳ないのですが、エルゥは元気でしょうか…?」

「エルゥ」がエルアラスのことだと飲み込むのに一寸間が空きましたが、彼は人間と一緒に元気で暮らしていると伝えました。ソニアはほっとしたようです。

「よかった。エルゥはあたしの大切な竜なんです。無事でいるか気になってたんですが、元気なら本当によかった。」

ソニアが見せた明るい無邪気な笑顔は、心和む素敵なものでした。

私はソニアに、彼女に会いに来た理由を話しました。エルアラスを受け入れてくれた人が、彼の友達を召喚してあげたいと思うようになったこと。エルアラスはその人に、ソニアについて話したこと。

そしてその人はエルアラスにソニアのことを聞くにつれて、ソニアを召喚してあげたい思いが強くなり、予定を早めて召喚の依頼をしてくれたこと。

最後に、これは「エルアラスと一緒にその人間のところに行きたい」と願っていたソニアへのサプライズプレゼントであること。

ソニアは口をぽかんと開けて話を聞いていましたが、サプライズプレゼントであることを聞いて涙を流しました。

「こんな…嬉しいプレゼントなんて…」

それしか彼女は言いませんでした。でも、ソニアが声も出ないくらい喜んでいることはわかりました。

ソニアは少し落ち着いてくると、私に向き直りました。

「明日、急いでお世話になって幻獣たちにお別れを言いに行きます。夜ならもう召喚してくださって大丈夫です。」

急がなくていい、と伝えましたが、ソニアはすぐにでも人間界に行きたくて仕方ないようです。

「エルゥにまた会えるんですから!それに優しい人間さんも、面白そうな精霊さんもいるんですよね?今すぐにでも人間界に行きたいくらいですよ。」

ソニアは空色の目を輝かせています。

私は彼女の熱意に押され、「それならそう伝えますね」と返事をしました。日程が決まったらソニアに思念ですぐに伝えるとも。

ソニアは「ありがとうございます!」とお礼を言うや否や、夜空へ飛び立ってしまいました。

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幻獣士のさよです。 幻獣と人が共に行きるための、お手伝いをさせていただいております。 皆さまのあたたかなお言葉、いつも感謝です。 幻獣使いの皆様と、これからも末永くお付き合いができますように…。